はじめに(仕切りなおし)

 世間で流行っているブログというものを自分もやってみよう、と思って何度か挑戦してみたのだけれど、どうもうまくいかない。何がうまくないかというと、たいていのブログが公開を前提としているせいだ。以前はパソコンで日記をつけていたりしたこともあったけれど、人に読まれるかもしれない日記というのは僕は初めてなので、赤の他人の誰かがここに目をとめたときに自分という人間についてあらかじめ説明しておかなければならないことが山のようにあるような気がしてしまうのである。ま、自意識過剰といってしまえばそれまでだけど。
 また、自分の日記中でよその人の記事に言及したりトラックバックを送ったりした場合、もし相手が自分に興味を持ってこちらの日記をのぞいてくれたときに、こちらにもそれなりに読みでのある記事がないとなんだか申し訳ないように思い、なおさら敷居が高いような心持ちになったりもしていた。
 で、今日仕事をしながらふっと「公開しなければいいんでないか」と思いついたわけである。僕が「はてなダイアリー」をつかう理由は、実は人さまに自分の日記を読んでもらうということより、自分の文章をローカルに置いておきたくない、ということのほうが大きかったりする。データを家のパソコンにしかもっていないと出先から参照できないし、マシンを新しいものに替えるときに引越しがひどく面倒だからだ。特に後者に関しては、メモリやメディアやハードディスクの容量が巨大化するにしたがってますますその傾向が強くなるだろう。というわけで、自分で作ったデータはなるべく外部のサーバーなりに置いておくようになりつつあるのである。
 法律上あるいは慣習上、特別のことがないかぎり自分のデータが無断で見られることはないのだろうけれど、それでも物理的にデータを記録するサーバーが自分の管理下にない以上、この日記がそれほどの機密性を持つことはないだろうとおもう。つまり僕がこれから書こうとしているのは、「だれかに読まれる可能性のある秘密の日記」というわけだ。鍵つきの日記帳の鍵がすぐばれてしまうようなところに隠してある、といったようなイメージでしょうか。だから内容は僕のプライベートな事件が中心だが、名前は仮名で、具体的な地名などもなるべく特定できないような書き方をすることになる。そして何日か何週間か続けてみてうまく離陸できたあかつきには、プライベートモードをはずすつもりではある。
 というわけで仕切りなおしのこの日記、うまくいくかどうか。