『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』ジェイ・ルービン

ハルキ・ムラカミと言葉の音楽

ハルキ・ムラカミと言葉の音楽

 本日入荷。
 ジェイ・ルービンって村上春樹の最近の作品を英訳してる人だよなあ、と思いながら本を開くと頭の謝辞のページに「大江健三郎に感謝」云々とある。「?」と思い仕事の手をとめて中を探すと、1995年に読売文学賞が『ねじまき鳥クロニクル』に与えられたとき、授賞式で審査委員長格の大江が作品の一部を朗読までして賞賛し、またその後のパーティでふたりが直接顔を合わせてちょっと喋ったというエピソードが紹介されていた。そんなことがあったなんて知らなかった。どこかにそのときの様子のレポートは出てないのかな。
 学生時代大学に大江が講演に来たことがあって、何についての話だったかすっかり忘れてしまったけれど(こっそりテープレコーダーを持ち込んで録音したテープがたしかあったはず)、ひとつだけ覚えているのが「最近の若い小説家に、たとえば村上冬樹という人がいて」と(たぶんわざと)名前をまちがえてみせて「若い人の作品はあまり読んでいないので…むこうも自分の小説なんて読んでないだろうし」としゃべっていたこと。それをきいてからずっと、大江は村上をあんまり評価してないと思っていたので、この本の記述にはちょっとびっくり。