村上春樹をめぐるもろもろ

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世界は村上春樹をどう読むか

世界は村上春樹をどう読むか

 おお、貴重な映像が。講演を終えて席に戻ったときに右隣にいた女性はミドリさん、じゃねえ陽子夫人であろうか。

「小説を書くのが僕の仕事で人前で話すことではない。普通にバスや地下鉄で東京の町を動き回りたいし、映像が出て大勢の人に認識されたくないんです」

とのこと。声はともかく村上春樹の顔なんてもう十分有名だろうという気もするのだけど、いやいやノーベル賞なんかとった日にはそれどころの騒ぎじゃないんだろうなあ。
 大江がノーベル賞をもらったあとそれに便乗した本や企画が大量に発生して、そのなかには「サルでも読める大江健三郎」みたいな無邪気なもののほかに「朝日岩波文化人としての大江を斬る!」という趣旨のものがだいぶあって、僕はそういうのを見るたびに『ナウシカ』の映画の中の「ユパだ!討ち取って名を上げろ!」という科白を思い出したものだったのだった。そーゆー本でいまでも出回ってるものってほとんどないよね。
 『世界は村上春樹をどう読むか』はすでに出ていたのを見落としていて慌てて発注した本。パラパラと中を見ていると、このシンポジウムの企画が四方田によって発案されたものだという経緯が書いてあってびっくりした。パネリストの中で四方田犬彦だけが浮いている(彼だけが村上春樹に批判的)ので、主催者はなんでこの人を呼んだのかしらと不思議だったのだけれど、まえに内田樹がごちゃごちゃ言っていたシンポジウムの締めの四方田の科白ともども納得がいった。客観的にみれば氏のようなスタンスの人間が一人いるだけで、この企画全体が単なる村上マンセーのファンクラブにならないですむわけで、主催した人たちのバランス感覚は大したものだという気がする。また四方田という人はジャーナリスティックな嗅覚が鋭いなとも思いました。