記憶に残る広告のはなし

 備忘のために書いておこう書いておこうと思いつつつい忘れていたこと。
 記憶に残っている広告があって、以前ちょっと気になってググったりしてみたのだけれど出てこず詳細は明らかでない。
 ひとつはキヤノンのカメラ「EOS KISS」のたしかTVCM。デジカメではなく普通のカメラである(初代なのかNewなのかは憶えていない)。
 カメラを低くかまえて赤ん坊の写真をとろうとしている若い女性に、コピーがかぶさる。

キミは、ピースもチーズもしないから、ママがいっぱいキスをする

 これを見たときは子どもどころか結婚もしていなかったけれど、なぜかなんとなく「将来自分の子どもの写真をとるときはピースやチーズはさせないでおこう」と決意したものだ。それで今でもコドモには「ピースすんな」と言うのだけれど、コドモはピースをしないと落ち着かないらしくついついピースの写真をとってしまうのである。
 もうひとつ、これは駅に貼ってあった「野田クルゼ」という医歯薬専門の予備校のポスター。
 病院の待合室に立っている若い白衣の女性。深夜らしくがらんとしている。緊張のせいか疲れているのか、彼女はこわばった顔をしてまっすぐこちらを見ている。

治したくて
元気にしたくて
自分の腕が、もどかしくて

 仕事の帰りに、草臥れたなあと思いながらふっとこのポスターを見たりすると、「いやいや本屋の仕事なんかお医者さんに比べると大したことないんだ」という気にさせられるのであった。