記憶に残ってしまう広告のはなし

 上のふたつはよい方に記憶に残るのだけれど、こっちは悪いほうに憶えてしまう広告。
 だいたい作り手はプロなんだから、新聞の折り込みやアマチュア劇団の公演チラシのウラの広告ならともかく、TVCMみたいなお金のかかったものは自分のような素人に簡単につっこまれるようなものがあっちゃイカンのではないかと思うのだけれど、なんだか見てるこっちが恥ずかしくなるようなCMってすごくたくさんあって困る。たしか松本人志も『遺書』だかどこだかで「くだらないTV番組はあらかじめ回避することができるけれど、くだらないTVCMはいつやるかわからないので避けることができず不快だ」という意味のことを書いていてはげしく同意したものだった。
 たとえば、朝コドモが見ているテレビ東京の『おはスタ』の時間帯にやっている焼肉のタレの某社のCM。お金があるんだかないんだか、同じCMをくりかえしくりかえしやるので大変イライラする。やめてほしい。
 また、「CM中でギャグをやるのだけれど、そのギャグがつまらないということを織りこんだオチにしている」という構造のCMも、見ていて不愉快である。これは学生劇団がオリジナルの芝居をやるときによく使う手で、一応ギャグをやってみてウケればよし、万一ウケなくてもそれを利用して話が進むようにあらかじめ防御線を張っておくという方法なのだが、観客のほうも作り手のそういうエクスキューズの心理をわかってしまっているのでかえってみっともないことになる場合のほうがおおい。そんな小賢しいことをされるよりもストレートに笑わせに行って玉砕してくれたほうが見ているほうは気持ちがよいのだ。
 いまやってるCMで適当なのが思いつかないのだが、むかしダウンタウンが出ていたコンビニエンス屋さんのCMで、保存料を使わず冷凍してあって電子レンジであたためて食べるという弁当のものがあった。ダウンタウンのふたりが弁当になって「はやくチンしてえなー」と訴えると、コンビニ店員の若い女性が犬の芸の「チンチン」のまねをして、ダウンタウンが「さぶ!」と返す、という内容。ギャグが寒いというのと弁当が冷凍されているというのがいちおうかけてあるんだと思う。たぶん松本が「ギャグが面白くない=寒い」という言い方を流行らせかけていた頃のCMだったんじゃないかという気がするのだけれど、あんまりくだらなかったせいでこんなに細部まで憶えてしまってるではないか! 作ったやつ責任とってほしい。
 もうひとつ、GyaoとかYahoo動画とか見ると流れるサラ金の某社のドラマ仕立てのCMで、ウド鈴木が怪我で入院しているところに恋人らしき女性がお見舞いに来る、というやつ。芝居が適当すぎて見るたびにアタマが混乱する。これもいい加減おわってほしいと願っている昨今である。