ナンシー関のこと。
きょう発売の「テレビブロス」にナンシー関の特集ページ。
亡くなってもう6年になる。そろそろ彼女を知らないっていう世代が出てきてもおかしくないんだなあ。
自分がいつも感じること。
よく「TV批評」みたいな言われ方をされることがあって、まあそれはそれで間違っちゃいないんだけれど。ただ「需要と供給」というフレーズをよく使っていたことからもわかるように、彼女はその番組やタレントだけをどうこう言っていたわけではなく、いつもその向こうにある「世間」について語っていたのだ、ということ。というか世間を語るときにいちばん題材にしやすかったのがTVだったということだろう。
また、亡くなったときいろんな人が「世間の彼女の評価はひくすぎる」ということを言っていて、もちろん僕もそう思ったひとりなのだが、その科白のうらには「彼女の本当の価値がわかるのは自分だけだ」という自負が隠れていて、で、ファンのそういう思い入れのしかたというのが太宰治のそれにすごく似ているということ。ともに青森出身だ。青森ってそういう土地なんだろうか。
あるいはまた、彼女のコラムはある節度をずっと保っていた、それは倫理的と言ってもよいものだったとも思うが、それは彼女がたんなるライターではなく消しゴム版画家という「本業」をもっていたせいではないか。ナンシー亡きあと似たようなTV批評をやっている今井舞とか丸山タケシとか、あと山田美保子やら石川三千花なんかと決定的にちがうのはそこで、つまりたとえ建前だとしても、TVを見たりTVについて書いたりすることを本業にはしていなかったということである。なんで本業でないと倫理的なのかという説明は、面倒なのでパス。
とても印象に残っているのが、キムタクはかっこよすぎるところが一周まわってかっこわるいと指摘した文章で、それ以来キムタクさんをみるたびに思いだす。さいきんますますそうなってるみたいで、ほんとにこれからどうするんだろうなーと他人事ながら心配な昨今。
- 作者: ナンシー関
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2008/06/01
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 50回
- この商品を含むブログ (27件) を見る