『カエサル』

1月24日にNHKBSの映画カレンダーで『フォッグ・オブ・ウォー』を予約しておいたつもりだったのに、録画されたのを見てみたら日生劇場の『カエサル』が入っていたのであった。とほほ。主演は松本幸四郎である。せっかくなので(早送りしながら)見てみたら…(以下例によってとりとめのない感想)


・まあTVの劇場中継なので断言はできないのだけれど、びっくりするほど面白くない。科白は生硬で説明的(脚本は斎藤雅文)。似たようなガウンを羽織った古代ローマ人がいっぱい出てくると誰と誰が対立しているのかよくわからなくなる。舞台はローマ風ハリボテがちゃっちい。また第1幕の終わりでカエサルが死んだポンペイウスの生首を抱いて嘆き悲しむ場面があるのだが、生首が発泡スチロールだかなんだかのハリボテというのはちょっとどうかと思った。

・ブルータス役の小澤征悦さんは、男前なんだけどキメ顔がひとつしかないのか大事な科白を言うときに必ず同じ顔をする。あと肩に力が入りすぎだという気がする。

・「アリス」という名前の奴隷を演じた水野美紀は可愛らしくてよいのだが、長い手足を持て余してるみたいに見えた。大学の演劇サークルだったらストップモーションをもっとちゃんとやれー! って言うところ(生意気言ってすいません)。

キケロを演じた渡辺いっけいだけはよかった。というか芝居を見ているとついだれか一人の役者だけを追いかけるように見てしまうということがよくあるのだけれど、この芝居においてはそれが彼だったということです。

松本幸四郎はさすがに貫禄もあり、舞台の中央に立つだけで劇場全体を支配する力に漲っている。それだけにもったいないなあと思わざるをえない。

・「久保酎吉」という名前を久々に見ました(芝居は見たことない)。

・新劇のその他大勢役の役者が見ていて妙に恥ずかしい心持ちがするのは、いわゆる<コロス>でないただの(近代的)個人にしかすぎないからではないのかなーと思った。

・観終わったあと松竹のウェブページでキャストとスタッフの名前を眺めていたら衣裳の方の名前に見覚えがあって、ググッてみたら以前お会いしたことのあった人でした。すごいなー。