震災の日

(この文章は4月11日に書いています)

  • ・午前中所用で新宿と渋谷の大型書店をまわるが成果なく、家に帰って弁当をつくって出勤。ぽかぽかと気持ちのよい日で、自転車で走ると汗ばむほど。
  • ・13:30店に着き昨日の売上を計算して入金のため銀行へ。
  • ・14:30ごろから客注品の入荷連絡。あるお客様の家が留守電だったので「先日ご注文の書籍が入荷いたしましたので……」云々と喋っていると揺れが来る。おおこれは結構でかいと思いながら「ご来店お待ちしておりますー、失礼いたしまーす」まで言い終わって、電話を切ってもまだ揺れている。レジカウンターの左に手帳をならべた棚がおいてあるのだけれど、他の棚とちがい固定してない仮設の棚なので倒れでもしたらたいへんだと思い、あわてて抑えにゆく。ならべてある手帳がばらばら落ちてくるは平台が崩れるは棚下ストッカーが飛び出してくるは脇の出入口の防火扉が閉まって大きな音を立てるはたいへんな騒ぎ。こんなに大きな地震を体験するのは初めてである。店内のお客様は、みんな広い通路に出てしゃがみこんでいた。これ片付けるの面倒だなーと思っているうちに、なんとか揺れがおさまる。
  • ・お客様を避難させたあと招集があり、1Fで全館ミーティング。停電していることもあり本日は営業中止。
  • ・売場に戻り自宅やヨメの携帯に電話するがつながらず。金沢の実家に電話してみたらこれはつながって、母親とちょっと話をする。金沢でも結構揺れて怖かったそうだ(金沢ってあんまり地震ないのだ)。店長はマネージャーの携帯や本部に連絡をとろうとしているがなかなかつながらないよう。昼飯を食い損なったのでカウンターの中で立ったまま弁当。一緒に食べるつもりだったカップラーメンは食べられないので、ごはんと昨日の残りの豚の生姜焼き1枚だけ。
  • ・そのあとあらためてうちに電話をすると今度はつながって長女が出た。
  • 「あ、大丈夫?」
  • 「大丈夫だよ」
  • 「一人?」
  • 「そんなわけないじゃん。おかあさんと次女もいるよ。あ、あとムギ(ネコ)」
  • 「……あ、そう。地震のとき学校にいたの?」
  • 「うん」
  • 「怖かった?」
  • 「うんまあ」
  • 「……えーと、じゃあ、しばらくしたら帰るから」
  • 「わかった」ガチャ
  • 切られた。
  • もともと感情をあらわにするコドモではないのだけれど、それにしてもマイペースすぎで拍子抜け。
  • ・17:00ごろ、非常用電源も切れて何の作業もできなくなったので、帰れる者は帰ることになる。「こういう時って二輪通行止めになったりしない?」などとイヤなことをいう奴がいる。ずっと以前に、帰ろうとおもったら自転車がパンクしていて修理道具どころか電車賃すら持っておらず、一人帰宅困難者となって歩いて帰ったことがあって(バカ)、その時かかった時間が5時間半であった。そうすると今から歩き出せば着くのは22:30ということになる。
  • ・まあ実際は自転車通行禁止なわけもなく、片耳に携帯ラジオのイヤホンをつっこんでTBSの荒川強啓の特番を聞きながら走る。車は死ぬほど渋滞しており、またあたり一帯停電しているらしく通りのコンビニの照明も消えているのだが、入場を制限しながら仮営業をしているようで入口に行列ができていた。それを見て家に食材のストックがあったかしらん今日の夕飯どうしようと不安になる。
  • ・地理をぼかしたままだと記録としての意味がないので書いてしまうと、職場は町田市内にあり、自宅は世田谷である。通勤に使っているのはその名も世田谷町田線という県道/都道で、小田急線にほぼ並行して走っている。途中川崎の生田のあたりでセブンイレブンが普通に営業しているのに気づき、ビールとカップ麺を買う。レジのお兄さんに「この辺は停電してないんですね」と言うと、「自分うちにいたんですけどそんな大したもんだと思いませんでしたよ」とのこと。川崎のあたりって地盤が堅かったりするんだろうか。
  • ・19:00ごろ無事帰宅。家に入ると納戸の本棚が倒れて本やら荷物やらで部屋が埋まっていて、もし地震のときネコがこの部屋にいたら潰されてたなーと思いぞっとする。


台所の食器棚も倒れかかっていたそうだが幸い食器は割れていなかったそう。緊急停止していたガスを復活させてお湯を沸かし、TVを見ながらカップ麺を食べました。本当は明日は休みなんだけど、店の片付けに行かなければならない(疲)。

  • ・というわけであらためて振り返ってみると、揺れて店が臨時休業になったこと以外はじつは平常運転の一日なのだった。