「記憶してください。私はこんな風にして生きて来たのです」

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 周知のとおり、漱石の『こころ』のなかの言葉。とはいってもぼくは『こころ』は読んでなくて、大江健三郎経由でこの言葉を知った。
 ブクマしたheiminさんの記事のような文章を読むと、まず「いろんな人生があるんだなあ」と思う。そういった文章はけっして、かくかくしかじかで目出度いという趣旨のものではなく、どちらかといえば悲しみや哀れみをさそうものである場合が多いから、「自分にできることがあればなにかしてあげられないか」と一瞬思ったりもするが、すぐに「自分には何もできないしする覚悟もない」と思いなおすことになる。しかるのちにこの言葉を思いだし、そうだ、せめて自分はこのような人生があったことを憶えておこう、と考えるのである。そして心のなかでこうつぶやく。
 「はい、記憶します。あなたはこんな風にして生きて来たのですね」と。