文庫のカバーデザインについてひとこと。
【B面】犬にかぶらせろ! - 文庫本の新装ブーム
四方田犬彦がわたせせいぞうの表紙の角川文庫の『坊ちゃん』かなにかを「バカバカバカ」って言ってたなあ、昔。
僕は、新潮文庫のむかしのカバーデザインがたいへん好きである。つまり、わたせほどではないにせよ、安野光雅の漱石というのもあんまり好みでないのだ。とゆーわけで本棚からむかしの新潮文庫を出してきて並べてみた。ケータイで撮った写真なので、ピンがあまかったり暗かったりするのは我慢しなければいけないのである。
これが津田清楓の装丁を流用した、以前の新潮文庫の漱石のカバー。
芥川龍之介。
太宰治。デザインは城所昌夫というひと(知らん)。
川端康成。平山郁夫である。
谷崎潤一郎。加山又造である。
三島由紀夫。このデザインはまだ銘柄によっては現役。
このデザインを引用した橋本治の三島由紀夫論。
辻邦生の作品が、上の三島と同じように著者名と書名をおおきく書いただけのシンプルなデザインだったはずなんだけど(字の色が緑だったような)、手元になくてアマゾンにも書影がなかった。忘れられつつある作家のひとり?
ヘッセ。本人のサインをあしらってある。
カミュ。
カフカ。あのねえ、カフカはぜったいこんなの→http://www.shinchosha.co.jp/book/207101/ よりこっちのほうがいいぞう。
サリンジャー。
んで、とくにカバーのデザインをしない銘柄については
このようなフォーマットが用意されているのだけれど、いまではこういうカバーで出ている作品はほとんどないみたいだ。
柳美里の、裁判沙汰になったいわくつきの作品がこういう装丁で出ているのだけれど、上のフォーマットで出さないでカバーをとったときのデザインを使っているところが、なんというかあざといなあという印象をもったものだった。
へんにイラストばっかりつかうよりも、ストイックなデザインで統一していたかつての文庫のほうが好きなんだよなあ。
ちなみに新潮文庫以外ではあまり思い入れのあるものはない。せいぜい辰巳四郎の装丁はカッコよろしいなあ、というぐらい。辰巳デザインの本のフェアとかやったらすごくかっこいいだろうなあ、と以前文庫を担当していたときぼんやり考えていた。