東欧見聞録>恐怖のるーまにあ : 解説

 以下に転載するテキストは、かつてNHK衛星放送が番組のために運営していた「銀河通信」というBBS*1に掲載されていたものである。筆者の大山あゆみ氏は(当時読んだプロフィールを記憶の底から掘りおこしたかぎりでは)若手の演劇人で、当時ロンドンに留学していた女性であるらしい。いまgoogleで検索してみると「女學生の友」という劇団の主宰者として何件かの文章がヒットするが、おそらくその人ではないかと思う。いまのところそれ以外の情報がないので、現在大山氏が何をされているのかは私にはわからない。
 この文章は、大山氏が留学中のロンドンからルーマニアを旅した際の紀行文である。私がこれを読んだのは1989年の9月23日、BBSにアップされたのもそれほど前ではないのではないかと思う。東欧革命前夜のルーマニアのようすが臨場感をもって書きとめられており、20年ちかくたったいま読んでも間然とするところがない。
 当時の電子テキストは(ほかの多くの草の根BBSにアップロードされたテキスト群と同様に)広大なネットの海の中に消えてしまったようで、検索をかけてもみつけることができない。私としては、このような優れたテキストが埋もれてしまうのは実にもったいないという思いから、当時のプリントアウトをもとにここにあらためて転載する次第である(訪れる人などほとんどいない過疎ブログとはいえ、ここに置いておきさえすれば検索が可能になるのだ)。一部の文字化けした部分を「■」で置き換えたほかは、原文を忠実に転載した。言うまでもないことだが、この転載は私個人の責任において行われるものであり、これによって生じた不具合にはできるかぎり誠実に対応するつもりである。またテキスト自体の著作権は、もちろん原筆者の大山あゆみ氏にある。