呉智英『バカにつける薬』

(これを書いてるのはほんとは7日なんですがね)
 きょうヨメさんが読みおわった本を図書館にかえしにゆくので、一家でついていってついでに自分も本を借りてきた。

バカにつける薬 (双葉文庫)

バカにつける薬 (双葉文庫)

 べつにこの本がすごーく読みたかったわけではなくて、たんに目について未読だったことを思いだしたので、もう1冊の本(『知って役立つキリスト教大研究 (新潮OH!文庫)』)のついでに借りてきたのである。
 この本の第2章「バカを撃つ」が各誌に載った論争をまとめたものなのだけれど、そこにでてくる相手が上野昂志や岡庭昇である。なんとなつかしいことか! 自分が学生のころにはその名をちょくちょく聞いたものだけれど、さいきんはすっかり忘れられてしまっている。しらべてみると専門学校の校長やら文筆活動をつづけているようではある。
 しかしそれにしても、その論争に登場する文章がいかにも80年代ふうで非常にはずかしい。カタカナの使いかただとか、「なのだ!」みたいな語尾だとか、あとこれは上野や岡庭ではない一般の読者の投書なのだが「とかゆーよーな」式のわざとアホぶった書きかただとかね。
 やっぱりこういう文章の射程はみじかいものだなあと、しみじみ思う。ついでにこの呉の本もいまとなってはまるっきり面白くない(なにしろケンカをうっている相手がもうおちぶれてしまっているのだから)。原著は1988年だが双葉文庫にはいったのが1996年である。96年当時でもこの本に同時代性などなかったように思うのだけれど。
 ちなみにここに収録されている呉×岡庭の論争は、「本の雑誌」誌上でリアルタイムで読んでたりしたのであった。